歯科矯正
最終更新日:2025年6月29日
ラミネートベニアで後悔する6つのパターンとは?メリット・デメリットを解説

歯を動かさずに前歯の歯並びや色味を整えられる「ラミネートベニア」。
つけ爪のようにセラミックの薄い板を歯に貼り付ける審美治療ですが、リスクを知らないまま治療に踏み切るのは危険です。
そこで本記事では、ラミネートベニアで後悔しがちな6つのパターンを解説します。治療のメリット・デメリット、費用や治療の流れまで、後悔しないために知っておくべき情報を網羅的に紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

目次
- ラミネートベニアとは「貼るタイプ」の審美治療
- ラミネートベニアができるのは上下の前歯12本のみ
- ラミネートベニアは強度の高いセラミックが用いられる
- 歯を削らないとされる薄いタイプ(ノンプレップベニア・ルミネアーズ)もある
- ラミネートベニアの費用は1本5万〜15万円が目安
- ラミネートベニアで後悔する6つのパターン
- 不自然な白さ・形になった
- 削った歯が虫歯や知覚過敏になった
- すぐに欠けた・取れた
- 聞いていた金額より高かった
- 元に戻したくでも戻せない
- 歯並び自体は変わっていない
- ラミネートベニアのメリット
- 治療期間が短い
- 痛みが少ない
- 歯並びと歯の色を同時に改善できる
- 金属アレルギーの方にも対応できる
- ラミネートベニアのデメリット
- 保険適用外の自由診療である
- 健康な歯を削る必要がある
- 割れたり剥がれたりするリスクがある
- 対応できる歯科医院が限られる
- ラミネートベニアの治療の流れ
- 初期検査
- カウンセリング
- 歯の表面を削る
- 歯型をとる
- セラミックシェルの作製
- セラミックシェルを貼り付ける
- 余分な接着剤を除去
- メンテナンス
- ラミネートベニアでよくある疑問
- 歯を削らないラミネートベニアならデメリットはない?
- ラミネートベニアの寿命は何年ですか?
- ラミネートベニアと矯正どっちがおすすめですか?
- ラミネートベニアが本当に必要かどうかまずは歯科医師に相談を
ラミネートベニアとは「貼るタイプ」の審美治療

ラミネートベニアとは、歯の表面を0.3~0.5mm程度薄く削り、セラミックなどで作られたシェル(付け爪のような薄い板)を貼り付けて歯の見た目や色味を整える治療法です。
セラミックシェルは厚みが0.5~0.8mmで、前歯に貼り付けても不自然に見えにくいです。
この治療は、例えば以下のようなお悩みをお持ちの方に適しています。
- ホワイトニングでは白くならない歯の色を改善したい
- 歯と歯の間の隙間(すきっ歯)が気になる
- 歯の形が不揃い、先端が少し欠けている
ラミネートベニアができるのは上下の前歯12本のみ
ラミネートベニアはが適応できるのは上下の前歯12本(上下の中切歯、側切歯、犬歯)のみ。
奥歯は食事の際に強い力がかかるため、破損のリスクがあり、適用されません。
ラミネートベニアは強度の高いセラミックが用いられる
ラミネートベニアではポーセレンという種類のセラミックシェルが一般的でした。
現在は、セラミックの強度を高めたアルミナや、二ケイ酸リチウムガラスから作られるe.max(イーマックス)、金属と同程度の非常に高い強度を持つジルコニアなど、複数の種類のセラミックシェルが使われています。
歯を削らないとされる薄いタイプ(ノンプレップベニア・ルミネアーズ)もある
ラミネートベニアの中には、歯を削らない、あるいは削る量を最小限に抑えた「ノンプレップベニア」という種類があります。代表的なものに「ルミネアーズ」や「スーパーエナメル」などがあり、これらは0.1~0.5mmの薄いセラミックシェルを用いるのが特徴です。
コンタクトレンズのような薄さのため、歯を削らずに前歯の見た目や色味を整えられます。
ラミネートベニアの費用は1本5万〜15万円が目安

ラミネートベニアは歯の見た目をきれいにする審美治療です。審美治療のため保険が利かず、費用は全額、患者の自己負担(自費診療)になります。
ラミネートベニアの料金相場は1本の歯につき5~15万円程度。ただし、これはあくまで相場であり、治療を行う歯科医院や素材によって料金は変動します。
また、ラミネートベニアは永久的なものではなく、一般的にその寿命は10年~20年程度です。経年劣化による変色や摩耗、接着剤の劣化による脱離、土台となるご自身の歯が虫歯や歯周病になってしまうことなどが原因で、将来的に作り直しが必要になる可能性があります。
そのため、治療を受ける際には初期費用だけでなく、メンテナンスや再治療にかかるコストも考慮しておくことが重要です。
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ラミネートベニアで後悔する6つのパターン

ラミネートベニアは、短期間で歯の色や形を整えられますが、治療後に「こんなはずではなかった」と後悔するケースもゼロではありません。ここでは、ラミネートベニアで起こりがちな後悔のパターンを6つ紹介します。
不自然な白さ・形になった
完成した歯が周りの歯と馴染まない不自然な白さだったり、厚みがありすぎて不格好に見えたりするケースがあります。
これは、患者さんの希望と歯科医師や歯科技工士との間のイメージ共有がうまくいかない場合に起こりがちです。対策としては、治療前に「どのような白さ、形にしたいか」を具体的に伝えることが重要になります。
また、質の高い治療を行う歯科医院では、治療前に「モックアップ」と呼ばれる模型を作製し、仕上がりのイメージをシミュレーションできる場合があります。このような事前シミュレーションが可能かどうか確認しておくと良いでしょう。
削った歯が虫歯や知覚過敏になった
歯の表面のエナメル質を削ることで、その下にある象牙質が露出し、一時的にしみやすくなることがあります。
また、ラミネートベニアと歯の間に微細な隙間ができてしまうと、そこから細菌が侵入し、虫歯ができてしまうこともあります。これは、歯科医師の技術力や接着技術に左右される部分が大きいです。また、日々のセルフケアで境目の汚れを落としきれていないことも原因となります。
対策としては、技術を持つ歯科医師を選ぶこと、そして治療後は境目を意識して丁寧にブラッシングすることです。
すぐに欠けた・取れた
食事中などに、ラミネートベニアが欠けたり、ぽろっと取れてしまったりするケースも少なくありません。
主な原因は以下の3つです。
①接着技術の問題
②噛み合わせの調整不足
③患者さん自身の癖や食生活
対策としては、まず噛み合わせまで考慮して治療を行える歯科医師を選ぶことが大前提です。その上で、氷や硬いナッツ類など、極端に硬いものを前歯で噛むのは避けましょう。また、歯ぎしりや食いしばりの癖がある方は、ナイトガードを装着するなどの対策が必要です。
聞いていた金額より高かった
カウンセリングで聞いていた概算費用よりも、最終的な請求額が高くなってしまったケースもあります。
これは、費用の内訳に関する確認不足が原因です。治療を開始する前に「治療費の総額」と検査料、仮歯の費用、調整料など「その内訳」を必ず書面で提示してもらいましょう。
元に戻したくでも戻せない
ラミネートベニアは、健康な歯の表面であっても削る必要があるため、一度治療を行うと元の歯の状態に戻すことはできません。仕上がりに満足できず、元の状態に戻したいと思っても、それが不可能であると知って後悔するケースもあります。「不可逆的な治療」であることを開始前に十分に理解しておきましょう。
歯並び自体は変わっていない
ラミネートベニアは、歯の表面にシェルを貼り付けて「見た目」を整える審美治療であり、歯の根の位置を動かす「歯列矯正」とは根本的に異なります。
軽度のすき間やねじれは改善できますが、歯並びの乱れが大きい場合は、矯正治療が適応です。
ご自身の希望が、審美治療で解決できる範囲なのか、それとも矯正治療が必要なのかを、歯科医師に正しく診断してもらうことが重要になります。
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ラミネートベニアのメリット

ラミネートベニアは以下のメリットがあります。ラミネートベニアは歯科矯正のように歯を動かす必要がなく、短期間で治療が可能な点が魅力です。セラミック矯正のように歯を大きく削ったり歯の神経を抜いたりすることはありません。
治療期間が短い
通常、歯並びを治すには矯正装置で少しずつ歯を動かす歯科矯正を行うのが一般的です。ラミネートベニアは前歯の表面にセラミックシェルを貼り付ける治療のため、歯科矯正のように矯正装置で歯を動かす必要がありません。
数年以上の長い治療期間がかかることもある歯科矯正と比べ、ラミネートベニアは短期間で前歯の歯並びと歯の色を改善できる点がメリット。通院回数は平均で2~4回程度、治療期間はラミネートベニアの作製期間(1~2週間程度)も含め、トータルで3週間~2ヶ月程度です。
痛みが少ない
歯科矯正は矯正装置を歯に着けて歯を移動させるため、矯正装置を着けた直後は圧迫感や痛みを感じることがあります。
セラミック矯正の場合、セラミッククラウンを被せる際に歯を大きく削って歯の神経を抜くため、抜髄時に痛みを感じることも。
一方、ラミネートベニアでは前歯の表面のエナメル質を0.3~0.8mm程度削るのみ。エナメル質は歯の神経が通っていないため、ラミネートベニアで歯を削るときに痛みを感じることはほぼありません(※)。痛みを感じないため、麻酔無しで治療ができる点がラミネートベニアのメリットです。
(※)知覚過敏や歯周病、象牙質が露出しているケースでは痛みを感じる場合があります。
歯並びと歯の色を同時に改善できる
ラミネートベニアは前歯の歯並びを整えると共に、歯の色を改善することが可能です。
ホワイトニングで白くできない失活歯(神経が死んだ歯)やテトラサイクリン歯、エナメル質の形成不全によるホワイトスポットがある歯も、ラミネートベニアであればセラミックシェルを貼り付けることで自然な歯の見た目を再現できます。
金属アレルギーの方にも対応できる
金属を一切使用しないため、金属アレルギーがある方でも治療を受けられます。また、金属の被せ物のように歯ぐきが黒ずんで見える心配もありません。
ラミネートベニアのデメリット

ラミネートベニアは以下のデメリットもあります。
知識がないまま治療を受けてしまうと後悔することもあるため、事前にデメリットを把握しておきましょう。
保険適用外の自由診療である
ラミネートベニアは歯の見た目を改善する審美治療です。見た目を良くする目的の審美治療には保険が利きません。自費診療のため、治療費は全額自己負担になります。
健康な歯を削る必要がある
セラミック矯正と比べるとラミネートベニアは歯を削る量が少なく済みます。少ないとは言え、前歯の表面を0.3~0.8mm程度、削る処置が必要です。
歯は一度でも削ると二度と元には戻りません。健康なエナメル質を削ることに抵抗がある場合は、歯を削らないルミネアーズやノンプレップベニア(スーパーエナメル)を選択する方法もあります。
割れたり剥がれたりするリスクがある
ラミネートベニアに使用されるセラミックは陶器の一種であり、強い衝撃が加わると割れたり欠けたりすることがあります。
また、強力な接着剤で貼り付けますが、経年劣化や過度な負担によって剥がれてしまう可能性もゼロではありません。
ラミネートベニアの平均的な寿命は10~20年程度。強力な接着剤で歯に着けるため、施術後すぐにセラミックシェルが取れることはまれですが、寿命があることを把握しておきましょう。
ラミネートベニアで用いる接着剤は4~5年程度経つと劣化がはじまります。長持ちさせるためには施術後に半年~1年に1回程度、クリニックでメンテナンスをしてもらうことが大切です。
対応できる歯科医院が限られる
ラミネートベニアは、知識と高度な技術が必要な治療法です。そのため、すべての歯科医院で提供しているわけではありません。
治療を希望する際は、事前にその歯科医院のウェブサイトを確認したり、直接問い合わせたりして、ラミネートベニア治療の実績が豊富かどうかを調べておくとよいでしょう。

ラミネートベニアの治療の流れ

ラミネートベニアは以下の流れで治療を進めていきます。
初期検査
口腔内の状態を確認し、レントゲン撮影を行います。虫歯や歯周病の有無を確認するほか、噛み合わせもチェックしてラミネートベニアが適応可能かどうかを調べます。
カウンセリング
歯科医師に現在の歯の悩みやラミネートベニアに関する質問を伝えます。検査結果をもとに話し合い、適した治療方法を歯科医師が提案します。
歯の表面を削る
前歯の表面を0.3~0.8mm程度削ります。歯の表面のエナメル質に神経は通っていないため、歯を削る際には麻酔を使わないのが一般的です。
ただし、知覚過敏がある場合や、歯周病、エナメル質の内側にある象牙質が露出している場合は歯の表面を削るときに痛みを感じるケースがあります。
痛みを感じるおそれがある場合には、麻酔をして歯の表面を削る場合もあります。
極薄のセラミックシェルを使うルミネアーズやノンプレップベニア(スーパーエナメル)は歯を削る必要がありません。
歯型をとる
一人ひとりの歯に合うセラミックシェルを作るため、歯型を取ります。歯型を取った後は削った前歯の表面に仮のシェルを貼り付けます。
セラミックシェルの作製
セラミックシェルが出来上がるまでには、歯型取りから1~2週間程度かかります。セラミックシェルの内側はサンドブラストをかけ、歯に接着しやすくなるように加工します。
セラミックシェルを貼り付ける
本歯のセラミックシェルができたら、前歯の表面に接着剤でセラミックシェルを貼り付けます。貼り付けた後は光を照射し、化学反応によりセラミックシェルを前歯の表面に固定します。
余分な接着剤を除去
セラミックシェルが前歯の表面に固定されたら、余分な接着剤を取り除いてラミネートベニアの治療が完了します。
メンテナンス
ラミネートベニアをより長く使い続けるためには、歯科医院で定期的にメンテナンスを受けることが重要です。メンテナンスではセラミックシェルが外れたり欠けや割れを起こしていないかチェックし、あわせて、歯の健康状態の確認や歯のクリーニングを行います。
ラミネートベニアでよくある疑問

ラミネートベニアに関してよく挙がる疑問に答えます。
歯を削らないラミネートベニアならデメリットはない?
ラミネートベニアには歯を削らずにセラミックシェルを貼り付ける方法もあります。
ただし、歯を削らない分、元の歯にシェルの厚みがそのまま加わります。そのため、唇側に少しボリュームが出て違和感を覚えたり、歯と歯茎の境目に段差ができて清掃がしにくくなったりする可能性があります。
ラミネートベニアの寿命は何年ですか?
ラミネートベニアの寿命は、お口の状態や生活習慣によって個人差がありますが、一般的に10年~20年が目安とされています。
ただし、これはあくまで目安です。硬い食べ物を頻繁に前歯で噛んだり、歯ぎしりや食いしばりの癖があったりすると、セラミックが欠けたり剥がれたりする原因となることもあります。
ラミネートベニアと矯正どっちがおすすめですか?
どちらの治療法が適しているかは、お口の状態と、どのような改善を望むかによって異なります。
ラミネートベニアは「歯の見た目」を、歯科矯正は「歯並びと噛み合わせ」を改善することに主眼を置いています。たとえば、歯の色や形、軽度の隙間といった、歯そのものの見た目を短期間で整えたい場合はラミネートベニアが向いていると言えるでしょう。
それぞれのメリット・デメリットを理解し、歯科医師と相談しながらご自身に合った方法を選ぶことが重要になります
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ラミネートベニアが本当に必要かどうかまずは歯科医師に相談を
ラミネートベニアは、歯を動かさずに前歯の歯並びや歯の色を改善でき、治療期間が短く審美性が高いといったメリットがあります。一方で、「健康な歯を削る」という後戻りできない側面や、寿命があること、保険適用外で費用がかかるなどの注意点も。
治療後に「こんなはずではなかった」と後悔しないためには、メリットだけでなくデメリットも十分に理解することです。
ご自身の希望がラミネートベニアで本当に叶うのか、あるいは矯正治療など他の方法が適しているのか、まずは歯科医師に相談し、納得のいく治療法を選択しましょう。
ラミネートベニアの他に、前歯の歯並びを部分矯正で治す方法もあります。あなたの歯並びが歯を削らずにどこまで綺麗になるか、AIシミュレーションで確認してみませんか?