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歯科矯正
最終更新日:2025年7月31日

前歯だけの矯正とは?治療できる例・できない例から費用まで詳しく解説

前歯だけ矯正の費用・期間・症例は?「部分矯正はおすすめしない」と言われる理由も解説
「前歯のすき間や、ちょっとしたガタガタを治したい」。でも全体矯正は費用も期間もかかって大変ですよね。
そんな方には、気になる前歯だけを整える「部分矯正」という選択肢があります。
当記事では、前歯だけの部分矯正について、具体的な治療法から費用・期間の相場、メリット・デメリット、実際の症例までをまとめて解説します。
「自分の歯並びは部分矯正で治せる?」という疑問にもお答えしますので、ぜひ参考にしてください。
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歯科医師

西尾万樹

東京表参道矯正歯科 院長。北海道医療大学歯学部卒業。2018年歯科医師免許取得。旭川医科大学病院口腔外科にて研修後、矯正歯科勤務。2020年コスメコンシェルジュ取得。

前歯だけ矯正できる部分矯正とは?

前歯のすき間や少しのガタつきが気になるものの、「全体矯正は大がかりすぎる」と感じている方も多いのではないでしょうか。
そんな方に選ばれているのが、気になる前歯だけを整える「部分矯正」です。
部分矯正は、上下の前歯6本(犬歯から犬歯まで)を対象にした矯正治療です。噛み合わせや奥歯に大きな問題がなければ、比較的短期間かつ低コストで歯並びを整えることができます。
一方、歯並び全体のバランスや噛み合わせ、口元の印象までトータルで改善したい場合は「全体矯正」が適しています。
つまり、部分矯正と全体矯正では、治療の目的や適応できる症例が異なるため、自分に合った方法を見極めることが大切です。
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前歯だけ矯正できる症例5選

前歯の部分矯正は、歯並びの乱れが軽度であれば対応できるケースが多くあります。
ここでは、前歯だけの矯正で改善が期待できる代表的な症例を5つご紹介します。

① 軽度のガタガタ・乱杭歯(叢生)

軽度のガタガタや乱杭歯(叢生)であれば、前歯だけの部分矯正で対応できる可能性があります。
叢生(そうせい)とは、歯の生えるスペースが不足していることで歯が前後にズレたり、斜めに生えたりする状態を指します。
とくに下記のように前歯1〜2本だけが傾いていたり、少し重なっていたりする程度の軽度な症例であれば、全体矯正を行わずとも改善が期待できます。
  • 総額:33万円 (税込)
  • 期間:4ヶ月
  • 備考:非抜歯/部分矯正/研磨処置込

② 軽度のすきっ歯(空隙歯列)

軽度のすきっ歯(空隙歯列)であれば、前歯だけの部分矯正で対応できる可能性があります。
すきっ歯になる原因としては、歯のサイズが小さい、生まれつき歯の本数が少ない、舌の癖がある、などが挙げられます。
中でも、下記のように前歯の一部だけすき間が空いているようなケースであれば、全体矯正をせずにすき間を整えることが可能です。
  • 総額:33万円 (税込)
  • 期間:3ヶ月
  • 備考:非抜歯/部分矯正/研磨処置込

③ 軽度の出っ歯(上顎前突)

軽度の出っ歯(上顎前突)であれば、前歯だけの部分矯正で対応できる可能性があります。
出っ歯は、上の前歯が前に傾いていることで口元が出っ張って見えたり、口が閉じにくくなったりする原因になります。
出っ歯の中でも、歯の傾きが軽度であれば、全体矯正を行わなくても前歯のみを整えることで見た目の印象を改善することが可能です。
  • 総額:33万円 (税込)
  • 期間:4ヶ月
  • 備考:非抜歯/部分矯正/研磨処置込

④ 軽度の反対咬合(下の前歯が出ている)

軽度の反対咬合(下の前歯が出ている)であれば、前歯だけの部分矯正で対応できる可能性があります。
反対咬合は、下の前歯が上の前歯より前に出ている状態で、「受け口」とも呼ばれます。
噛み合わせ全体に大きな問題がなければ、前歯の位置を調整するだけで見た目や機能が改善されるケースもあります。
  • 総額:33万円 (税込)
  • 期間:2ヶ月
  • 備考:非抜歯/部分矯正/研磨処置込

⑤ 矯正後の「後戻り」

過去に矯正をした歯が元の位置に戻ってしまった「後戻り」も、前歯だけの部分矯正で対応できる場合があります。
保定装置(リテーナー)の使用をやめてしまったり、舌や唇の癖が残っていたりすると、矯正後であっても歯が少しずつ動いてしまうことがあります。
特に前歯がわずかにズレてしまった程度の後戻りであれば、再び全体矯正をせずとも、部分矯正で整えることが可能です。
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前歯だけの矯正ができない4つのケース

前歯だけを整える部分矯正は、すべての症例に適応できるわけではありません。
噛み合わせ全体や顎の状態などに問題がある場合は、全体矯正や別の治療法が必要になることもあります。
ここでは、部分矯正が適さない代表的なケースを4つご紹介します。

① 重度のガタガタ・叢生

歯のガタつきや乱れが重度の場合は、前歯だけの部分矯正では対応できないことがあります。
歯が大きく重なり合っていたり、複数の歯が前後左右にずれているようなケースでは、部分的な移動だけでは全体のバランスが取れず、理想的な歯並びにならない可能性が高くなります。
このような場合は、奥歯の位置や噛み合わせも含めて整える全体矯正が必要です。

② 骨格性の問題(顎が前に出ている・後退している)

顎の骨格に原因がある場合は、前歯だけの部分矯正では十分な改善が期待できないことがあります。
たとえば、顎が前に突き出ている、あるいは引っ込んでいるといった骨格性の問題は、歯の位置だけを整えても噛み合わせや見た目のバランスが崩れたままになる可能性があります。
このような場合は、ワイヤー矯正や外科的な治療を含めた全体的な矯正治療が検討されます。

③ 歯周病や歯の根の破折がある場合

歯周病が進行していたり、歯の根に破折があるような場合は、前歯だけの矯正を行うことができないケースがあります。
歯を動かすためには、歯を支える骨や歯ぐきが健康な状態であることが前提ですが、歯周組織に問題があると、矯正によって歯の揺れが強くなったり、状態が悪化するリスクがあります。
そのため、まずは歯周病の治療や破折歯の処置を優先し、必要に応じて矯正以外の方法も検討することが大切です。

④ 開咬(上下の前歯がかみ合わない)

上下の前歯がかみ合わない「開咬(かいこう)」は、前歯だけの矯正では対応が難しいことがあります。
開咬とは、口を閉じても上下の前歯の間にすき間ができる状態で、舌癖や骨格の影響によって生じる不正咬合です。
こうした噛み合わせでは、前歯のみを動かしても改善が難しく、全体矯正が必要になるケースが多くなります。

前歯だけ矯正する費用

前歯だけの部分矯正は、全体矯正と比べて費用を抑えやすいのが特徴です。
ただし、使用する矯正装置や歯並びの状態によって金額に差があるため、事前に相場を把握しておくことが大切です。

費用相場は10万〜70万円

前歯だけの矯正にかかる費用は、おおよそ10万〜70万円が相場です。
選ぶ装置の種類や治療の難易度によって費用は大きく異なります。たとえば、一般的な費用の目安は以下の通りです。
  • 表側矯正:30万〜60万円
  • 裏側矯正:50万〜70万円
  • ハーフリンガル矯正(表側+裏側):40万〜65万円
  • マウスピース矯正:10万〜50万円
同じ「前歯だけ」の矯正でも、症例によって必要な調整の量や期間が変わるため、まずは診断を受けて自分のケースに合った費用感を確認しましょう。

マウスピース矯正なら33万円で前歯だけ矯正できる

マウスピース矯正であれば、前歯だけの部分矯正を33万円(税込)で受けられるプランもあります。
たとえば、Oh my teethの「Basicプラン」では、上下前歯6本の部分矯正が総額33万円(税込)で提供されています。
費用には診断料・治療料・マウスピースの作成費などがすべて含まれており、追加料金が発生しない明朗な料金体系が特長です。
「結局いくらかかるのかわからない」といった不安を感じやすい矯正治療において、総額が明確に提示されているのは大きな安心材料と言えるでしょう。

前歯だけの矯正治療期間は2〜6ヶ月が目安

前歯だけの部分矯正は、治療期間が短く、一般的に2〜6ヶ月が目安とされています。
部分矯正は動かす歯の本数が少なく、範囲も限られているため、全体矯正と比べて治療期間を短縮しやすいのが大きな特長です。
もちろん、歯並びの状態や使用する装置、日々の装着状況によって多少の個人差はありますが、それでも多くのケースで短期間の治療が可能です。
「できるだけ早く歯並びを整えたい」という方には、前歯だけの部分矯正は現実的で効果的な選択肢となるでしょう。

前歯の歯並びを放置すると起こる5つのリスク

前歯の歯並びの乱れは見た目だけでなく、健康面にもさまざまな影響を及ぼす可能性があります。
ここでは、前歯の歯並びをそのままにしておくことで起こりうる5つのリスクをご紹介します。

① 虫歯・歯周病になりやすい

前歯の歯並びが乱れていると、虫歯や歯周病のリスクが高くなります。
歯と歯が重なっている部分やすき間が広い部分は、汚れが溜まりやすく、歯ブラシがうまく届かないことも。
さらに、出っ歯のように前歯が前方に突出しているケースでは、口が閉じにくくなり、唾液の働きが弱まることで細菌が繁殖しやすい状態になりがちです。
こうした環境は、虫歯や歯周病の原因菌が活発に活動しやすく、口腔内の衛生状態を悪化させる要因になります。

② 前歯が割れやすい

歯並びが乱れていると、一部の前歯に過度な力がかかり、割れやすくなる恐れがあります。
たとえば、前歯が前方に飛び出していたり、隣の歯と接触しないまま咬み合っているような状態では、咀嚼や衝突の際に力が一点に集中してしまいます。
通常よりも歯に負担がかかるため、小さな衝撃でもヒビが入ったり、欠けてしまうリスクが高まります。

③ 顎関節症のリスク

前歯の歯並びが乱れていると、噛み合わせのバランスが崩れ、顎関節症のリスクが高まります。
本来、上下の歯はバランスよく噛み合うことで、顎関節や咀嚼筋への負担を分散していますが、前歯の位置がずれていると噛み合わせが不自然になり、無意識のうちに顎をずらして噛んだり、特定の筋肉だけに力がかかるようになります。
その結果、顎に違和感を覚えたり、口を開けたときに痛みや異音を感じるといった症状につながるのです。

④ 体の歪みにも影響

前歯の噛み合わせが乱れていると、顎の動きや姿勢に影響を与え、体全体のバランスが崩れる可能性があります。
人間の顎は、首・肩・背骨と連動して動いており、噛み合わせが左右どちらかに偏っていると、無意識のうちに体を傾けてバランスを取ろうとします。
その結果、片側に負担がかかりやすくなり、肩こりや首の張り、姿勢のゆがみといった不調につながることもあります。

⑤ 胃腸への負担

前歯の歯並びが乱れていると、食べ物をしっかり噛み切れず、胃腸に負担をかけることがあります。
前歯には、食べ物をかみ切るという大切な役割があります。
しかし、歯並びが悪く前歯同士がうまく噛み合っていないと、うまく咀嚼できず、食べ物を大きいまま飲み込んでしまいやすくなります。
その結果、胃腸に余計な負担がかかり、消化不良や胃もたれにつながるのです。

前歯だけの矯正でよくある質問

前歯だけの矯正は手軽に始められる一方で、「本当に前歯だけで大丈夫?」「後戻りしない?」など、気になる点も多いのではないでしょうか。
ここでは、前歯の部分矯正を検討している方からよく寄せられる疑問について、Q&A形式でわかりやすくお答えします。

Q1:自分で矯正できませんか?

自分で矯正器具を使って歯を動かすのは非常に危険です。
SNSや動画サイトでは、「自作の矯正器具で歯を動かす方法」などが紹介されることがありますが、これは非常にリスクが高い行為です。
専門的な知識がないまま無理に力を加えると、歯茎や口のまわりの筋肉を痛める・歯が欠けるなどのリスクにつながります。
また、歯並びがかえって悪化してしまうケースも少なくありません。
前歯だけであっても、歯科医師による診断と治療が必要です。必ず歯科医院での適切な治療を受けるようにしましょう。
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Q2:「部分矯正はやめた方がいい」と言われたのですが…

症例によっては、部分矯正が適さないケースもあるのは確かです。
部分矯正は「前歯だけを短期間・低コストで治せる」というメリットがある一方で、噛み合わせや顎の骨格に問題がある場合には、全体矯正が必要になることもあります。
とくに、見た目だけでなく機能面の改善も求める場合は、部分矯正では十分な結果が得られない可能性があります。
そのため、「部分矯正はやめた方がいい」と言われた場合は、その理由をしっかり確認したうえで、必要に応じて他の歯科医院でもセカンドオピニオンを受けると安心です。

Q3:2本だけ、4本だけでも矯正できますか?

前歯2本や4本だけの矯正も、症例によっては可能です。
たとえば「前歯2本が少し出ている」「4本の前歯だけが重なっている」など、限られた範囲の歯並びの乱れであれば、部分矯正で対応できるケースがあります。
ただし、矯正は見た目の改善だけでなく、噛み合わせや全体のバランスも考慮する必要があるため、歯科医師の診断を受けたうえで治療方針を決めることが大切です。

Q4:後戻りしない?

矯正後に保定(リテーナー)を行わないと、歯は元の位置に戻ってしまう可能性があります。
歯並びは、治療によって整えたあとも、舌の癖や噛み癖、加齢による変化などによって少しずつ動いてしまいます。
そのため、矯正治療が完了した後は「リテーナー」と呼ばれる保定装置を装着し、歯並びを安定させる期間が必要です。
とくに部分矯正は短期間で歯を動かすため、保定を怠ると後戻りしやすくなる傾向があります。治療後のケアまで含めてしっかり行いましょう。

Q5:前歯だけの矯正は保険適用になりますか?

原則として、前歯だけの部分矯正は保険の適用外です。
歯列矯正は見た目の改善を目的とする「美容医療」と見なされるため、基本的には自費診療になります。
ただし、噛み合わせに著しい問題があり、日常生活に支障をきたしている場合は、医師の診断により保険適用となることもあります。
とはいえ、前歯だけの部分矯正は審美目的であることが多いため、自費診療になると考えておく方が良いです。

前歯だけ矯正ができるクリニックの選び方

前歯だけの部分矯正を検討する際は、以下の4つのポイントを意識してクリニックを選ぶことが大切です。
クリニックを選ぶときのポイント
  • 費用の総額が明確なクリニックを選ぶ
  • 部分矯正に対応しているクリニックを選ぶ
  • 症例実績があるクリニックを選ぶ
  • いつでも相談しやすいクリニックを選ぶ
これらのポイントを比較しながら、自分に合ったクリニックを選びましょう。
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